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【短編集】シュガーを一匙、ミルクはお好み

第3章 玉砕、のち(刀剣乱舞/御手杵)




 その晩は泣いた。泣きまくった。

 振られることすら有り得ないと傲っていたわけじゃないが、女として意識した上で好意を持たれていると思い込んでいたのだ。
 まぁ、その辺りは振られた時に間違いだったと気付いたし、私の自業自得だから仕方ない。それだけならまだマシな落ち込み方をしていたはずだ。

 じゃあ一体何がそこまで私をドン底に突き落としたのかと言えば、私を振った時の御手杵の言葉である。
 「友達だと思ってるから」と断られるなら未だしも「無理」。
 取りつく島もない完璧な拒絶である。しかも即答。あんまりだ。

 感情のままに空が白むまで泣きまくった翌朝、私の顔は母親に悲鳴を上げられる有り様になっていた。
 学校はほぼ強制的に休ませられ、顔を冷やしながら何をするでもなく、家で一日を過ごし、更に翌日。

 元に戻った顔と少しすっきりした頭で家を出た。
 御手杵のことは多少引きずるだろうけど、まぁ時間と距離を置いていれば、元通りとはいかなくてもそのうちまた普通に話ができる関係にはなれるだろう。
それが昨日一日考えた末に出た私なりの結論。

 ひとまず御手杵や同田貫と食べていたお昼はどうしよう。隣のクラスの女友達のところに入れてもらえばいいか。
 ……なんて、目前の問題の対処法について考えていた矢先の事であった。

「おー、はよ。具合はもういいのか?」
「…………」

 見慣れた長身が突然ぬっと現れ、ごく自然に声をかけてきた。
 何も言わない(というか何も言えない)のを良いことに、そのまま当たり前のように隣を歩く。

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