第1章 クラスメイト
……。
…………。
……翔陽君……だっけ?
素人の私から見ても、下手くそ。
サーブレシーブの練習だって言ってたけど、まともにできない翔陽君。
「翔陽君って、バレー初めてなの?」
「なっ!これでも、中学の頃からやってた!」
「ほとんど無意味な中学時代だったけどな。」
「うっ……」
「おい、お前らあ!時間限られてんだから集中してやれよ!」
息詰まる翔陽君たちに対し、田中先輩は声をかける。
「こんなサーブレシーブ、素人でもできるぞ!簡単に返すだけでもいいからやってみろ!」
「うう~……。」
また練習が始まる。
私は落ちたボールを拾う役割だけど、影山君に怒られる翔陽君がなんだか可哀想に思えてくる。
「ねえ影山君。ちょっと落ち着いてお手本を見せてあげたらどうかな?」
「え、お手本……ですか?」
「うう。俺全然わかんねえ……。」
「ん~……なんかもう翔陽君ギブしちゃうそうだよ?」
「あーっ!!スパイク打ちたいー!!」
……スパイクしか取り柄が無いの?
「サーブがとれなきゃスパイクもくそもねえんだよ!!」
影山君。言葉言葉……。
……はぁ。疲れてきた。