第1章 クラスメイト
「ねえ君。部活って決めた?」
「……はい?」
校門を抜けて帰ろうとした私の手にプリントを渡し、先輩らしき男の人はにこっと微笑む。
「君可愛いし、どこにも入る予定が無ければぜひ、バスケ部のマネージャーになってくれないかな?」
「えっと、そうですね……ちょっと考えてみますね」
「もちろん!ぎりぎりまで待ってるから。あっそうだ、名前教えてくれない?」
「加賀花乃です。」
「花乃ちゃんね。覚えとく♪」
「有難う御座います。じゃあ……」
「うん。バイバイ。」
顔立ちの整った先輩に見送られ、私は少しドキドキしつつも歩き出す。
(かっこいい先輩。バスケ部かぁ……いいかもしれない♪)
もらったプリントを鞄にしまうところで私は思い出した。
(そういえば、影山君はどこの部活に入るつもりなんだろう……?聞きそびれちゃったけど、明日聞けばいっか……)
私はどこの部活に入ろう……。
バスケ部以外にも一応勧誘は受けたけれど、勧誘してきた人は皆美人かイケメンの人で困っちゃうよ……。
(特になんだっけ……バレー?排球とか初めて聞いた。排球部のマネージャーって人はすごく美人だったなぁ……)
私もあんな人になりたいと思いつつも、制服からそっと鏡を取り出して髪を整える。
あの美人マネージャの近くでそういうことを学んだら、私も少しは可愛くなれるのかな……?とか考えながら、私の足は少しずつ速くなっていった。