第1章 クラスメイト
私の鞄を間違えて持っていた人の名前は影山飛雄。
なんだかムスッとした表情で、健康的な体つきはスポーツマンっぽい。
「すんません……こんなミス、初日からしてしまうなんて……。」
「ううん。私が鞄を置いた場所が多分男子の列だったんだね。遅刻してきた私の方が悪いよ。あ、私の名前は加賀花乃って言います。よろしくね、影山君。」
「うす。」
彼はなんだか真面目な人っぽい。
私のせいなのにちゃんと謝ってくれたし……。
「あ、ごめん!影山君の鞄、慌ててきたから教室に置いてきちゃった!!」
「あぁ、別にいいっスよ。後で取りに行きます。」
「悪いよ~。私が取ってくるね!」
「いや、加賀さんは悪くないんスから、自分の事を……そういえば、加賀さんは部活決めたんスか?」
「えっ、ぶ、部活!?」
(急にどうした~?ってか、やっぱり運動系の部活に入る人~?私をマネージャーに誘おうとか……はっ、まさか、鞄を持って行ったのもわざと!?……って、それはさすがに疑いすぎか(笑))
「え、えっとね~……私は運動系は無理だから、落ち着いた部活に入ろうと思ってるかな~。影山君は?」
「俺は……あっ、道草食ってる暇なんかねえ!!すんません!俺やっぱ結構急ぐんで、失礼します!!」
「えっ、ええ……えええ~~~~~?」
めっちゃ深くお辞儀をした後、彼は猛ダッシュでどっかに走って行った。
取り残された私は、大声を出して目立った彼にふり返った人たちの視線を浴びていた。
(うう……影山君、酷いよ~(泣))