第4章 デートだけどデートじゃない!
私は山口君に言われたようにこのデートで詮索を入れてみることにした。
だから断っていないわけだけれど……。
「ねぇ蛍、せめてこういうときくらいは笑顔見せてよ……。」
「えー?いつも見せてるデショ?ほら。」
「どう見ても作り笑いじゃん。見てる方を嫌な気持ちにさせる必殺技。」
「そっちこそ、その減らず口閉じたらどうなの?」
「むっ?」
私たちはそう言いあいながらも遊園地の中に入っていく。
蛍は結構おしゃれだ。
パーカーとジーパンの色合いとかが絶妙でかっこいいと認めざるを得ない。
対して私はそんなにおしゃれする必要もないと思ったからタイツはいてカーディガン系の服を着てスカートはいているわけです。
適当にとりだしたものです。
おしゃれしようとは本当に思ってませんから。
「じゃあさ、何に乗りたいの?」
「……ジェットコースター。」
「女の子ってそういうの最初に乗りたがるもの?」
「うっさいなあ!別にいいじゃん。遊園地って言ったらジェットコースターでしょおが!!」
「うん……。」
蛍は何だか浮かない顔をしたけれど、そっとわたしに手を差し伸べた。
「ん。」
「……え……?」
「ま、迷子になったら探すの大変になるんだから、手間かけさせないように少しは協力してよ。」
「……なに、その偉そうな態度。」
蛍はそれには答えず、手は差し出したままそっぽを向いた。
私はしょうがないなぁと思いつつ、蛍の手をそっと握る。
蛍の手には少し汗がにじんでいた。
「蛍……」
「ほら、もう行くよ。」
蛍は私の言葉も最後まで聞かずに歩きだす。
その歩幅がいつもより短いことから、蛍の優しさを感じた。
(やっぱり、悪い奴じゃないんだなぁ……。)
私は少し感心しながらも、少しだけ……心臓を高鳴らせていた。