第3章 心臓が鳴りやむ前に。
「……ん、加賀さん!?」
「……う、うす。」
「よかった~……。」
目を覚ますと、そこは保健室だった。
隣には玲奈と影山君と山口君がいた。
「あ~……もしかしてさ……」
「その重い体なら、僕が運んであげたけど?」
この場にいる影山君や山口君に迷惑をかけたのかと聞こうとしたとき、ベッドを隠すためにあるカーテンが開いて蛍が顔を見せた。
私は体中の血が引くのを感じた。
「お、おもっ……」
「僕より小さい王様も運ぼうとしてたわけだけど、僕の方が授業遅れても成績で補えるからってわざわざ運んでやったのに……看病してたら意味ナイじゃん。」
私はそれを聞いて改めて周りにいる人を見た。
(みんな……心配そうな顔っていうより、むしろ授業をサボれて喜んでない?)
「あたしはそうだよ?」
「玲奈は超能力者か?」
私は思わずため息をついた。
すると、影山君は心配そうな顔で聞いてくれた。
「ほんとに、大丈夫なんスか……?」
「あーうんうん。」
「ごめん……俺のせいかも……?」
「山口君が悪いわけナイじゃん……」
(悪いのは蛍……って、考えすぎて倒れるとかってあるの?)
私は思わず蛍の方を見てしまい、それに気づいた蛍が言った。
「……なに?」
「なんでもない!それよりも、私は大丈夫だから教室戻ろう?」
「加賀さん、貴女貧血気味だからもう帰りなさい。」
「え”……」
保健室にいた先生の言葉に、私は心底がっかりした顔を見せた。
「そんな顔しないでよ~。もうちょっと目が覚めるのが遅ければあたし、授業でなくて済んだのに……」
「玲奈はさ、友達が命の危機に瀕していてもそういう態度をとるの?」
「さあ?(笑)」
「……もうイヤ……(泣)」