第2章 知り合い
教室の外へ出た私たち。
今日はもう帰ろうかと思って階段を下りようとしたら意外な人物に会ってしまった。
「げっ!?蛍!?なんで!?」
「……ちょっと忘れ物。」
背の高くて恨めしい人物がそこにいた。
玲奈は知らないらしく、誰?誰?というように私と蛍の顔を見比べる。
「ってかさ、教室にいたのカナ?あれってわざとだったの?聞こえたんだけど。」
『わざとじゃないし。』
「……そうやってやられると疑いたくなるね。」
でも蛍はそんなこと興味ないようにすぐに立ち去ろうとする。
「あ、ねえ。結局バレー続けるの?」
「……。」
蛍は黙ったまま振り返り、こちらを睨む。
昔からなんかムカつくのだこの坊主……。
私が何したってんだ。
「……もちろん。」
それだけ言うと、彼は私たちが先ほどまでいた教室の方向へ歩いていく。
「……ねえ花乃、彼ってコワい人……?」
玲奈が恐る恐る尋ねてきた。
「私からすればそうだけど、アイツにも友達っていうのはいるし、大丈夫だとは思うよ?」
「うわ~。なんか怖くなってきちゃったじゃん。」
「慣れだ。慣れ。」
「自分は関わらないからって簡単に言ってくれんな~。ってか、名前は?」
「月島蛍。小学校の頃一緒のクラスで帰る方向も一緒だったから結構話した方。毒舌家だよ。」
「……うん。それはわかった。」
玲奈はそれを聞いて何だか落ち込んでいる。
「どうしたの?」
「ん……ってかさ、ああいうタイプって結構鋭いじゃん。苦手なんだよね~。あぁ、早くさわやか先輩に会ってエネルギー(萌え)を補充したい……♪」
「うん。気持ちすっごく分かる。」
私たちはその後もいろいろと話しながら帰路についた。
なんと、偶然にも彼女の帰る方向はうちの方向と近かった。