第1章 クラスメイト
「花乃、もう部活決めた?」
「それがまだなんだよ~。」
昼休み、私に話しかけてきたこの女の子は清水玲奈。
彼女も昨日寝坊したようで、私と違うところは学校に来たかどうかというところだ。
「私もまだ♪っていうか、誘いのプリントは渡されてるんだけど、やっぱり高校生。イケメンが多くてさ~。選べねえ。」
「あっ、それ分かる~!!先輩ってなんか、皆かっこよく見えちゃうよね~!」
寝坊した者同士ってことで玲奈の方から話しかけてくれたわけだけれど、これが意外と趣味が合った。
「ねえ、男子バスケ部の人とか超良くなかった!?」
「あぁうん!その人はね、昨日帰る寸前にあった人だから印象あるよ。」
「こう、爽やか系なイケメンでさ~……」
「うんうん。普通にテレビ出ても違和感ないって感じ!」
そう言った後吹きだして笑う。
失敗したと思ったのに、なんだかすごくラッキーだ。
(そういえば爽やか系イケメン……菅先輩もそんな感じだったなぁ……)
「ねえ玲奈。排球部の先輩って覚えてる?」
「ああ!超超々美人の先輩!!!あれは忘れるわけないよ~!!」
泣きぼくろに美人ぼくろ……なんて素敵な人だったんだと改めて思う。
「でね、排球部には美人のマネージャー以外に爽やか系イケメンの先輩もいたんだよ~。」
「えっ?その情報ってどこから?知り合いの先輩?」
「今日、朝から部活を見学してきちゃいました♪」
「抜け駆けかぁああああああっっ!!!」
「あははははーーっ!!」
殴り殴られる真似をする。
中学で仲が良かった友達は皆別の高校に行っちゃったから、こうしてはしゃげるのは嬉しかった。
「そういえば、影山君も排球部なんだよ。」
「ん。影山?」
私たちは影山君の方を見る。
彼は視線を感じたのか、ふと気づいたようにこちらを見る。
「……どもっス……」
「ふぅん……。最低ライン合格!」
「は?」
「ううん!!何でもないよ影山君!!」
私は慌ててこれ以上変なことを言わないように玲奈の口を塞ぐ。
「顔はそこそこ。でも勉強できなさそうだし、なんかワガママっぽい感じが……。ね。」
「あ、あはは……。」
私は苦笑いを浮かべた。
翔陽君に対する彼の態度は、確かに彼のわがままも入っていた。