第2章 確信的な質問
「なんなのよあんた!!」
うん。それは俺が聞きたいな。
後を追ってきたらいきなり殴られそうになっている雪華を見つけた。
とっさに女の腕を掴んで止めたけど、別にこれ、止めなくても良かったんじゃね?
でも、なんか腹が立った。
…多分今、ムカついてる。
だって隠してる羽がうずく。
身体がほのかに熱を帯びる。
「こいつに話があるんだ。あんたら、どっかいってくんない?」
自分でも驚いた。
話があるのは確かだけど、ここまですることじゃないし、女どもの目を睨むこともないはず…なのに。
俺は女どもを睨みつけ、自分でもびっくりするくらいの、威嚇する鋭く低い声でそう言っていた。
掴んでいた手を離すと、女どもは怒りつつも青い顔をして去って行った。
丁度女どもの姿が見えなくなった頃だ。
背中から声がした。
「べつに…助けてくれなくてよかった」
可愛くないな。
ここは素直に微笑んで、ありがとうくらい言えよ。
背後から俺の横を通って行こうとする雪華を、再び壁に追いやった。
「帰ってもらっちゃ困るよ。話があるって言ったろ?」
若干、雪華の眉間にしわが寄った。
「…なに」
おーおー、強がってら。
必死に睨んできてる。
でも残念だな。
怖がってるのバレバレ。声震えてるし。
「考えてたんだ。なんでお前には俺の羽が見えるのか。お前に俺の羽が見えるように、俺にもお前の羽が見えてるんだよ」
「…!」
察っしたらしい。
雪華の目が見開かれる。
目を背けようとするから顎を掴んでこちらを向けさせる。
触れた時に、雪華の身体がビクッと跳ねた。
その拍子に俺と目が合う。
じっと見つめてからもう答えがわかりきっている質問をした。
「お前…天使だろ…」