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片羽天使と悪魔

第2章 確信的な質問


「だから…なに」

明らかに動揺している。
声が震え、カタカタと震える雪華は、あくまで平然を装い、俺に言った。

まぁ、天使かどうかなんてもうわかってたからいいんだけどな。
問題は…

「だがな、天使かどうかなんて、問題はそこじゃない。お前はなんで片羽しかないんだ?しかも人間界で人間を演じているなんてーーー」

ここまで言ったところで雪華の顔を固定していた手が掴まれた。

雪華は俺の手を顔から遠ざけると小さく笑い、言った。

「さっきの言葉、訂正するわ。私はね、天使"だった"のよ」

「…だった?」

「そう。じゃあね、親が心配するから帰るわ」

雪華が俺の目の前から消える。

俺をあとにする雪華の後ろ姿に、もう1つ生まれた疑問を投げかけた。

「人間界にお前の親なんているのか?」

言うと思った。という言葉が聞こえた気がした。

雪華はくるりと振り向き

「言ったでしょ?天使だったって。今は普通の人間。"じょしこーせー"なの」

口の前で人差し指を立て、秘密を作る子供のような顔でそう言う雪華は、不思議な雰囲気で。

窓から差し込む淡いオレンジ色が真っ白な雪華の髪に映える。

すきま風が雪華の髪をなびかせる度にキラキラ光っているようで、俺はまた動けなくなった。

バイバイ。と軽く手を降って去って行く雪華の後ろ姿を、俺はずっと見ていた。
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