第3章 夜
興味を持った。
そう言うと雪華の顔が薄っすらと赤み帯びた。
勘違いするなよ。俺は女としての興味なんて持ってない。って言おうとしたけど、面白いから言わないでおこう。
しばらく固まっていた雪華は、突然パッと顔を上げて
「…あなた本当に悪魔?ただの変態じゃない」
んだとこの野郎。
「お前は本当に天使か疑う性格だな。それとも人間になった時に性格まで変わったのか?」
「残念ね。元からこの性格よ」
ああ言えばこう言うって、まさにこのことだな。うん。
「モテナソウデスネ」
「失礼ね。今日の見たでしょ?アレはどう説明するよ」
「いや、この性格知ったら離れるだろ」
「本当に失礼ね」
「お前って恋とかしたことないだろ」
この言葉を言った時、雪華が再び固まった。
何故か焦った。
なんだか、言ってはいけない言葉を言ってしまったような気がして。
「…おい?」
「…あるわよ。恋したことくらい…とても…大事な…」
「…?」
俯き、とぎれとぎれに言葉を紡ぐ雪華は、今までの強がった印象はどこにもなく、名前の通り、雪のように儚げで、今にも消えそうだった。
「…、おい」
「っ!…もう帰って」
「はっ?」
「帰ってよ!!」
そう言い放つと雪華は布団をかぶってそっぽを向いてしまった。
俺が悪いのか?
何も言えなくて、俺は雪華の部屋をあとにした。