第1章 短編集※R18
「いくつ取ったの?」
「一つ。でも一つで十分さ」
「そんなものなの?」
「あぁ、オレの場合はな」
そういえば新開くんは福富くんのアシストもやるからそんなに多くのリザルトは取れないだろうと言っていたっけ、と軽く考える。
「お願いごと、決まった?」
「あぁ、そのことでちょっといいか?」
新開くんに腕を掴まれ、そのままどこかへ連れて行かれる。
とりあえず素直についていくことにした。
階段をいくつか上り、立ち入り禁止の看板を避け着いたのは屋上。
普段は鍵がしてあるはず、と思いつつ新開くんを見ているといくつかある屋上のうちここだけが鍵が壊れて施錠されていないとの事。
詳しく話すと実は一応鍵は閉まっているがちょっとしたコツで鍵がなくても開けられる仕組みになっているのだとか。
ガタガタとドアノブを回し、右側や左側へ回し続けている。
暫くそうしていると突然カチャ、と開いた。
かなり前に先輩に内緒でこのやり方を教えてもらい、一人になりたい時とかはたまにこうして開けては屋上を使っているのだと教えてくれた。
「えっと、お願いごとだよな」
「うん」
屋上に出て適当な場所を選びフェンスに背中を預け座る新開くん。
私もその隣にスカートが皺にならないようひざ裏に手をそえてお尻を付けずに座る。日が当たっている地面は少し熱く、座れない訳ではないが止めておくことにした。
今日は快晴だ。雲ひとつない、綺麗な青空。
すこし蒸し暑いが風が吹いて気持ちがいい。
今日は部活動もないため、人の声はさほど聞こえない。
少しの間空を眺めていると、新開くんが口を開いた。
「はじめてをくれないか?」
「・・・?」
よく分からない事を言う新開くんに「何の?」と尋ねる。
てっきりマフィンとか食べ物系だと思い込んでいただけに、ハテナマークが頭の中に浮かぶ。
「のはじめてがほしい」
「んーと、だからはじめてって?」
マフィンは何度か作った事があるから、作った事のない物?
あらかたこのお願いで何を食べたいと言われるのだろうかと心配したので練習がてら夏休み中に作ってしまっていた。
しまった、失敗して絆創膏だらけの子のあの感じが好きだったのか、新開くんは。
「手をつなぐとか、キスとかそーゆーはじめて」
「・・・え?」
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