My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「…何嬉しそうにしてんだよ」
ついつい頬をまた緩ませていれば、ユウの顔が訝しげなものに変わる。
「だって楽しかったから。また三人で食べようね」
軽く首を傾けて笑いかければ、相変わらず訝しげなままだったけどユウの額の皺が少しだけ消えた。
「安上がりな嬉しさだな」
「いいじゃない、簡単に手に入る嬉しさだってことで」
寧ろ便利でしょそれ。
「そういう何気ないものって結構大事なんだよ」
当たり前のようで、当たり前じゃない。
自分の体の事情もあるけど…黒の教団は戦闘組織として成り立ってるものだから。
根本にあるのは戦。
人の死も当たり前にある世界。
だからこそ、そんな些細な毎日が貴重で大事だと思う。
前はそんなこと思わなかった。
淡々と日々を過ごしていただけだけど…そう思えるようになったのは、きっとユウのお陰だ。
「…何気ないもの、ね」
ベッドの柵に頬杖をつきながら、しらーっとした目を向けてくる。
…何その顔。
別に変なこと言ったつもりないけど…。
「そういうもんなら、わからなくもない」
「…そう?」
意外な返答に思わず目を瞬く。
ユウもさっきのマリとの食事で、私と同じように感じてくれたってことなのかな?
だとしたら嬉しいんだけど…。
「ユウも大事に思ってくれた?」
笑顔で問えば、掌に乗せていた頬を離して片膝をベッドの上につく。
「それなら今感じてる」
そう言いながら、身を乗り出してくる体。
シーツに乗る膝に、ギシリと微かにベッドが音を立てる。
物に無頓着なユウだからなのか、わからないけど…このベッドちょっと粗末だと思う。
スプリングよく鳴るし。
エクソシストなんだし、もっと良いベッド手配してもらってもいいと思うんだけどなぁ……………って違う。
ちょっと待って。
今?