My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「だから利用できるもんはなんでも利用する。姑息でも、汚くてもなんでもいいさ」
正攻法などでなくてもいい。
使える駒があるならばなんだって使う。
そう告げるティキの顔を、一日の始まりを告げる朝日が柔く照らし出す。
「それが雪を傷付ける要因になったとしてもか?」
ふとしたワイズリーの悪戯心だった。
余りにも清々しい程に、悪の手本のような姿を見せるティキに、問いかけてみたくなっただけだ。
そこまで欲しがる彼女を傷付けたとしたら、この男はどうするのだろうと。
「それわざと? 愚問だろ」
いつもはその思考を覗き込んでいた側だというのに。まるで手に取るように、思考を読まれた気がした。
振り返った浅黒い顔の輪郭を、柔らかな光で照らした男に。
「雪が笑おうが泣こうが、怒ろうが喘ごうが。手に入れさえすれば、どうとでもなる」
金色の瞳を緩め、柔らかな癖のある黒髪を揺らし、薄い唇を上げてティキは笑った。
「それぜんぶ、俺のもんだから」
見惚れるような表情で艶やかに嗤う。
その表情を更に惹き立てるように、差し込む一筋の光。
それはまるで口にした未来を、予兆させるかのような光だった。