My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「ふー、お腹いっぱい!美味しかったなぁ鴨」
満腹になったお腹を撫でながら、柔らかいシーツの上に腰を下ろす。
物が少ない部屋だから、前に持ち込んだ大きなクッションをベッドの柵と自分の体の間に挟んで凭れる。
ここは私の寛ぎ場。
この部屋での定位置みたいなものだ。
「…満足そうで何よりだな」
「あれ、ユウは美味しくなかったの? 全部食べきってたでしょ」
もふっとクッションに背中を預けていると、目の前にかかる影。
原因は私の前に仁王立ちする高い背丈の人物。
見上げた先には……なんでそんな怖い顔してんの。
「テメェらが始終ヘラヘラ笑ってるのが鬱陶しくて仕方なかったんだよ」
「酷っ」
別に迷惑なんてかけてないでしょ。
ユウだってなんだかんだ完食してたでしょ。
怖いから、その目で威圧してくるの止めてくれないかな。
「だって楽しかったんだもん。三人でご飯食べるの」
それは本当のこと。
マリを含めて三人で同じ料理を味わうのは、楽しかった。
ちゃんとユウにお肉だけじゃなく野菜も食べさせられたし。
これで今日の栄養面は安心かなーなんてマリと笑い合えば、ユウに"お前らは俺の母親か"なんて鬱陶しそうに返されたけど。
そんなことさえ楽しくって、ついつい頬は緩んでいた。
「…チッ」
思い出して、ヘラとさっきと同じようについ笑ってしまう。
そんな私を見下ろすユウは、舌打ちをするもののそれ以上悪態はついてこなかった。
そのまま腕組みしてドサリと隣に腰を下ろす。
あ、怒ってはないみたい。
わかり難いけど確かに理解できるようになったユウの態度に、また頬は緩む。
なんだかんだ、一緒にご飯味わってくれたみたい。