My important place【D.Gray-man】
第35章 抱擁
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「……ん…」
ゆっくりと意識が浮上する。
瞼を開いて、ぼんやりとした視界が景色を映し出す。
枕に頬を押し付けて横になったまま、その景色を見つめた。
見えたのは、無機質な部屋の内装。
「…?」
えっと、この部屋って…確か──
ズキッ
「痛っ」
僅かに身動げば、腰に鈍痛。
腰というよりも明らかに内部に感じるその痛みに、はっとする。
そうだ、私。
確か──…
「起きたか」
後ろから呼びかけられる声。
振り返らなくても、充分聞き覚えのある声に思わず体は固まった。
最後の記憶は、不思議と感じ取れた優しい顔の神田だった。
その腕に抱かれて、心地良さに浸っていた。
時刻は定かじゃないけど、締め切ったカーテンの隙間から薄らと光が漏れている。
夜は明けたんだろう。
…ということは。
私あの後、寝落ちちゃったってこと…!?
「おい、何黙り込んでんだよ。聞こえてんだろ」
「っ…ぉ…おはよう…?」
恐る恐る、横になったまま振り返る。
見えたのは薄暗くともしっかり顔も確認できる明るさの中、同じベッドに横になって頬杖をついた…ってなんで裸なの神田さん!?
「言っとくが、お前も同じ恰好だからな」
「!?」
私の表情から、ずばり思考を読み取った神田が呆れ混じりに示してくる。
思わず布団に包まった自分の体を見下ろせば、わぁ本当。
裸 で し た。
「っ!」
慌てて再び神田に背を向ける。
動けば下半身が痛むけど、そんなこと気にしてられない。
なんで裸。
や、あのまま寝落ちたから仕方ないのか。
でもなんで神田も裸。
や、布団被ってるから胸辺りまでしか見えなかったけど!
「…私…あのまま、寝落ちちゃったの…?」
「お前昨日よっぽど寝てないだろ。体拭いても全く起きなかったし」
体拭かれたの…!
そういえばどこもベトベトしてない。
痛みはあるけど、気持ち悪さはない。
ありがとうございますでも恥ずかしい!