My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
見えたシスターの顔は笑っていなかった
悲しそうに見てくる目
…あ
や、だな…この目
町の皆の、蔑むような目とは違うけれど
でも同じに嫌な気持ちになった
可哀想って、僕を見てくる目
まるで上から見下ろしてくるような
枠の外から見てくるような、そんな顔
『ジャスティはジャスティよ。空想のお友達は空想の世界に返さなきゃ』
『…空想?』
違うよ
デビットは本当にいるよ
僕の中に
──ほら、オレの言う通りだろ
──そいつらはオレ達を"そういう"目で見てんだよ
──所詮、町の連中と一緒だ
『ジャスティ私を見て。あなたはジャスティ…ジャスデビよ。デビットなんて名前じゃない』
『うん…でも、デビットはぼくの──』
『駄目よ、それ以上は言わないで。ちゃんと現実を見なきゃ。じゃなきゃ…貴方はずっと此処から出られないわよ』
ずっと出られない?
なんで?
僕には迎えに来てくれる人がいないから?
パパとママって呼べる人が、いないから?
──違ェよ、いないんじゃない
──また忘れたのかよ
『……デビット…?』
──ったく、すぐオレに押し付けたまま忘れやがって
──いいか、オレらはあのクソ親父達に捨てら…
『ジャスデビ!』
『っ!?』
シスターの大きな声に、思わずビクリと体が跳ねた
頭の中のデビットの声が奥に引っ込む
『辛いのはわかるわ。でも、現実から逃げちゃ駄目。貴方はジャスデビよ。デビットじゃないの』
悲しい顔のまま、シスターが抱きしめてくる
温かくて落ち着く腕の中
優しい、大好きなシスター
…なのに
『……うん』
…シスターもそう
結局信じてくれないんだ
デビットはちゃんといるのに
僕の中に、ちゃんと
誰にも見えなくたって、僕をずっと支えてくれた
大切なもうひとりの僕
なんで僕を否定するの
デビットも"僕"なんだよ
『………ごめんね、シスター』
…でも、いい子でいなきゃ
皆と同じ"普通"でいなきゃ
じゃなきゃ……
また、捨てられちゃうから