My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
ここの人達は皆、優しい
『美味しかった?』
『うん、美味しかった! ごちそーさま』
温かいご飯も 優しい言葉も
沢山、沢山くれるから
でも
『ただいま。さ、帰りましょ』
『はぁい』
『……』
『どうしたの? ジャスティ』
『…ねぇ、シスター。なんでぼくには、あれがいないの?』
『あれ?』
ここで一緒に過ごしている子達は皆、帰る場所がある
迎えに来てくれる人がいる
でも僕には それがいない
なんでいないのかな
…あれ、なんでだったっけ
思い出せないから、知りたくて
迎えに来ていた大人を指差せば、シスターは困った顔をした
…あ
いけないこと、聞いちゃったかな…
『ごめんねシスター。ぼく、ここ好きだよ』
『…そう。ジャスティは良い子ね』
咄嗟に笑顔を浮かべれば、シスターは優しく頭を撫でてくれた
『ジャスティはずっとそのまま…ジャスティのままでいてね』
『うん。ぼくはぼくだよ』
シスターを安心させたくて
しっかりと頷けば、安心したようにシスターは笑ってくれた
よかった
──けッ
──ンなもん、ただの飾りだろ
……あ
この声、
『ダメだよ、デビット。そんなこと言ったら』
──ホントのこと言っただけだろーが
──そいつらの顔見てみろよ
──お手本みてェな作り物だ
気付いた時には、一番僕の傍にいた
ずっと一緒だったデビット
デビットは僕より強い心を持ってるから、いつもはっきりした言葉をぶつけてくる
それは僕を化け物って呼んでくる町の皆と似てるけど、でも全部僕の為に言ってくれてるのを知っていたから
きつい言い方でも、全然僕には嫌なものじゃなかった
『そんなこと言わないで。作り物なんかじゃないよ』
──そうかぁ?
──じゃあもう一度ちゃんと見てみろよ
──そいつらの顔
『もう一度って…』
デビットに言われるまま、顔を上げてシスターを見上げる
『…シスター?』
『……』
そこにはさっきまでの優しい笑顔は、どこにもなかった