My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
『ええ。その目も、その髪も。貴方だけが持つ素敵なものよ』
『…化け物じゃない…?』
『まさか。こんな可愛い子が化け物なはずないわ』
にこりと笑うシスターに、つられてその子にも笑みが浮かぶ。
ほっとして浮かべた笑顔は、子供らしい愛くるしいものだった。
その髪もその目も、確かに普通とは違うものだったけれど。
その笑顔だけで充分、可愛らしい子供だった。
『それじゃあ、帰りましょう?』
『うんっ』
笑顔で手を差し出すシスターに、小さな手を重ねる。
帰る、と口にして二人が向かった場所は教会の隣。
児童施設か何かなのか。其処にはその男の子同様、色々と特徴のある子供達がいた。
片足がなかったり、不自然に痩せていたり、言葉が話せなかったり。
…ああ、多分そういう施設なんだ、此処は。
恐らく健常者じゃない子供達をお世話する所。
…あれ?
でも、可笑しいな。
他の子は何かしら障害を持ってるのはわかるけど…あのオッドアイの男の子は、そんなふうには見えない。
確かに身体的特徴はあるけど、五体満足だし中身は健常者と変わらない。普通の男の子に見えた。
『ただいま、牧師様っ』
『やぁおかえり。ジャスティ』
施設に迎え入れた牧師さんが、ふと男の子を見つめる。
じっと見下ろした後、不意に笑みを浮かべるとその頭を撫でた。
…ジャスティ?
なんだか愛称のような呼び名。
『そろそろ晩御飯の時間だよ。手を洗っておいで』
『うん』
一つ返事で頷くそのジャスティという男の子は、随分と素直で良い子らしい。
見た目が特異なだけであって、会話のやりとりにも可笑しいところなんてない。
やっぱり健常者となんら変わりない子供に見えた。