My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「…リナリーに任せるよ。私よりそういうの詳しいだろうし」
「そう? じゃあ後で試着してね」
ひらひらと苦笑気味に手を振れば、にっこりと満面の笑みで返される。
そして再び物色し始めるその背中に、ね。とクロウリーに目を向ける。
「あれ見たらね。楽しいけど先の展開が疲れそうで…」
「先の展開?」
「絶対、試着であれこれ着せ替え人形にされそうな気がする」
「…成程」
今朝のリナリーとジェリーさんによる怒涛の着せ替えタイムを思い出して、思わず小さく息をつく。
私の為に着飾ってくれるのはあり難いけど、何十着も脱ぎ着するのって割と疲れる。
それを伝えれば納得したように、クロウリーも頷いてくれた。
「しかし良いのであるか?」
「何が?」
「全部リナリー達に任せてしまって。雪の好みの意見も通した方が…」
「いいよ。リナリーの方が私よりそういうセンスあるだろうし」
女性らしい服は、確かに可愛いと思うし嫌いじゃない。
ただあまり身に付けたことはなかったから、そういうことに詳しいリナリーが見立ててくれるのは助かるしあり難いと思う。
私の為に、何かをしてくれる。
それは純粋に嬉しいと思うから。