My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「えーっと…あ。それじゃあリナリーも一緒にいいかな」
「え? リナリー?」
「えっ」
「うん」
唐突なその提案に、アレンと同時に声を上げたのはリナリーだった。
いきなり自分の名前を出されて面食らってる感じ。
「ほらリナリー、この間気になるお店があるって言ってたでしょ」
「それは…でも急にそんなこと…っ」
「そうなんですか? ならリナリーも一緒にどうですか。僕でよければ、お付き合いします」
「えっ…え、えと…」
にこにこと笑顔で誘うアレンに、しどろもどろに応えるリナリーは──…ああ。ナルホド。
前々からそうかなって気はしてたけど…やっぱアレンはすげぇな。
教団のアイドルを惚れさせちまうなんて。
慌てて視線をさ迷わせるリナリーと目が合って、今度はオレが笑い返してやればその顔はほんのりと赤くなった。
わお。
流石リナリーさ、文句ナシに可愛い。
「折角の休日だし。いいでしょ」
「……」
笑顔で誘う雪を恨めしそうに見るリナリー。
だけどそんな視線喰らっても、雪は気にせず相変わらずにこにこしていた。
多分あれわざとさな。
聞いた話だと、半ば無理矢理着飾られたみたいだし…そのお返しみたいなもんか。
…ってのんびり傍観してる場合じゃないさオレ。
「ハイハイ! ならオレも参加ー」
「え? ラビも?」
「オレも今日は非番だし。いいだろ」
挙手して主張する。
このままじゃアレンが両手に花状態になっちまうし。
そんな羨ましい状況、黙って見過ごせねぇさ。
アレンじゃねぇけど、折角こんな雪の姿が見られたんだし…オレもまだ一緒にいたい。
……近くで見ると心臓に悪いけど。
「……ラビも一緒なら…まぁ」
人数が増えたことで安心したのか、リナリーが僅かに頷く。
なんだかんだアレンと一緒にいたいんだろうな。
オレの知る限り今まで恋愛対象で男を見てこなかったリナリーがまさか、アレンに対してそんな感情抱くなんて。
流石アレン、としか言いようがない。
…あれか。やっぱ紳士ってモテるんかな。
レディファーストとか?
アレンがやると様になるもんなー…。
……。
……ちょっと見習おうかな。