My important place【D.Gray-man】
第31章 嘘と誠
闘技場での事後処理を済ませて病院に戻ってから、教団に帰り着いたこの時まで、神田は普段と何も変わらずいつも通りだった。
あの出来事は実は夢だったんじゃないかなって思うくらい。
…まぁ今でも半信半疑なんだけど。
だってまさか神田に自分を受け入れてもらえるだなんて、思ってもいなかったから。
それも受け入れるだけじゃなく、神田は私を欲してくれた。
そんなこと、夢のまた夢だと思ってた。
「……」
というか…欲するってことは……わ、私のこと…好きってことで、いいのか…な…?
"欲しい"とは言われたけど、そういう好意を示す言葉は神田の口から聞いてない。
ある意味、好意の言葉以上に率直な言葉を貰ったとは思うけど…。
そういう言葉の方が、なんとなく神田らしいとも思うけど…。
………なんとなく、こう、現実味がないというか…。
そもそも、神田は私のどこを見て"欲しい"だなんて思ってくれたんだろう…。
神田みたいに外見も中身も惹き付けるようなもの、私は別に持ってない。
だからって神田は同情や遊びで、そういうことは言わないだろうし。
……大体…そういうことが未経験なんて信じられない。
確かに暴君で取っ付き難いけど、神田はモテる。
ファンクラブがあるくらいだし。
それにあの時、髪に触れた手も唇に触れたそれも…凄く自然でとても初めてなんて思えなかった。
………って思い出すな私。
顔が熱くなりそう。
「先輩っ!」
「わぁっ!?」
思わず一人で悶々と考え込んでしまってた。
そこにずいっと視界いっぱいに広がったのは、ゴズのドアップ。
唐突に現実に引き戻されて、つい驚きの声が上がる。
というかゴズのドアップに純粋に驚いた。
近い近い!