My important place【D.Gray-man】
第31章 嘘と誠
「オレじゃ二人を止められないみたいですから、雪先輩止めて下さいっ!」
泣きつくゴズの指差す先を見れば、未だバチバチと火花を散らしてる二人がいた。
ええー…あれ止めるの…。
今は神田とあんまり関わりたくないんだけどなぁ…変に意識してしまいそうで。
…まぁでもアレンがいるから、大丈夫かな…。
「はぁ…はいはい。こんな廊下の真ん中で喧嘩なんてしないの、するなら何処か密室にでもこもってやって下さいっ」
「先輩…それ止めてます?」
だって止められる自信なんてないし。
人の迷惑にならない場所でしてくれるなら、どうぞ好きに喧嘩して下さい。
エクソシスト二人組の喧嘩を、ただのファインダーが止めるなんて普通無理な話です。
「とりあえず神田は科学班の所に行くっ。アレンはリンクさんの所に顔出さないと、きっと怒られるよっ」
「あ?」
「あ、すっかりリンクのこと忘れてた」
ゴズのツッコミを無視して、二人の間に腕を差し込む。
すると同時に左右二人の顔が私に向いた。
瞳孔開いた怖い顔の神田と、嫌そうに顔を歪めたアレンの顔と。
「また監視の日々かぁ…嫌だなぁ…」
「…チッ」
すると意外にも二人はすんなりと、その間の火花を止めた。
あれ、喧嘩止まってくれた?
「うん、じゃあそういうことで。任務お疲れ様でした」
それならばと、早々二人に頭を下げる。
このまま喧嘩せずに別れてくれそうだし。
此処で私も退散しよう。
「ゴズ、私達は結界装置の点検しよう」
「あ、はいっ。お疲れ様です、神田さんアレンさん」
「二人もお疲れ様でした」
「……」
最後にちらりと見れば、軽く会釈するアレンとこっちを見てくる神田が見えた。
神田の眉間にはまだ皺が寄っていたけど、いつもの顔だと気にしないことにした。
うん、気にしない気にしない。
今気にしたら変に構えてしまいそうだし。
残りの仕事をさっさとこなそう。