My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
そして辿り着いた先は。
「…こんな遠くの料理の匂い、よく嗅ぎ付けたね」
「あまりに美味しそうな匂いだったのでっほら! 料理の支給やってますよ! あれタダですよ雪さん!」
大きな豪邸のような建物。
その屋敷の広場では、料理の支給が行われていた。
この街の裕福な人が、貧しい人の為に設置したものなのかな?
とにかくタダより安いものはない。
師匠の借金地獄の所為で"タダ"という言葉には滅法弱くなってしまっていた僕は、脇目も振らずに支給場所へ駆け寄った。
「すみません! 十人前お願いしますっ」
「いいえ二人前ですっ」
「え。」
途端、慌てたように駆け寄った雪さんに訂正を喰らった。
二人前って。
そんなの朝ご飯にもならないじゃないですか。
「え。じゃないっ支給品なのにそんなにアレン一人で食べちゃ駄目でしょっ」
それは…そうだけど…。
ぐるる~
「……はい」
…仕方ない。
とにかくこの始終鳴り止まないお腹の音を、止めるのが先だと渋々頷いた。
任務前に、もっとご飯食べておけばよかったな…。