My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
──だけど。
「…なんでこの街、怖そうな人が多いのかな…」
「そういう街なんじゃないですか?」
入る店入る店、何処もガラの悪そうな人達が屯っていて、なんとなく入れず終いで既に5軒目。
「もしくは、この街の衛兵とか。武装してましたよね」
「こんなに大きな街を、あんなガラの悪そうな衛兵が守ってるの?…なんか不釣り合い」
確かに雪さんの言う通り。
こんなに活気ある大きな街なら、警察の組織もちゃんとしてそうなのに…って、それより。
「僕お腹空きました…」
「…うん。それはよくわかってる」
さっきからぐるぐるとお腹の音が主張してくるままに嘆けば、そっと雪さんの視線は外された。
あ、なんか目を逸らされた。
多分、僕という現実から。
「雪さんっ次に入ったお店では必ずご飯食べましょうね!」
「ああ、うん。わかったわかった」
「じゃあ早速──」
このままじゃいつまで経ってもご飯が食べられない。
ガラの悪い人達なんて気にしてられない。
雪さんに任せず自分でお店選びをしようと、思い立った時。
「あ。」
ふわんと、とっても良い匂いが鼻をくすぐった。
「こっちから凄く美味しそうな匂いがします!」
「何そんな犬みたいに──…アレン!? 一人で行かないで!」
だって良い匂いなんですもん。
はい、決めました。
この匂いのする場所でご飯食べます!
そう決意すると同時に、僕の足は駆け出していた。