My important place【D.Gray-man】
第27章 夢現Ⅱ
最初は信じられなかった。
でも私が知ってる中で、黒い長髪に美形顔の男性エクソシストなんて一人しかいない。
でもやっぱり信じられなかった。
信じたくないと思う気持ちもあったけど、それ以上に。
神田が死ぬはずがない。
そう思ったから。
〝セカンドエクソシスト〟
そう名付けられている神田の体は、驚異的な治癒、再生能力を持っている。
普通の人じゃ死んでも可笑しくない傷を負っても、神田は死なない。
だから──…死ぬはずがない。
「……」
暗い部屋。
ソファで横になったまま、チャオジーの寝息を耳にしながら私はじっと目を開けていた。
あの占いの後、メイリンにはお礼を言って家まで送っていった。
最後まで頻りに、メイリンは占いで見えた神田の"死"を心配していた。
『人の"死"は…前にも見たことがあるから…間違いないです』
メイリンのその言葉が、頭の中で何度もぐるぐると回る。
それが本当なら、神田の"死"は本当に近いのか。
いつ、何処で、誰に。
死ぬはずがないと思ってるはずなのに、気付けばそればかり考えてしまう。
一体誰にやられるのか。
神田を抱いて泣いている人は誰なのか。
「……」
不安が心を覆う。
その不安感を拭えない理由も、一つだけあった。
神田の体は驚異的な治癒力を持ってるけど、決してそれは無尽蔵じゃない。
その治癒力にも"限界"はあると、調べた資料に載っていた。
〝命の残量〟
そう表現された言葉は、まるで神田の体を機械か何かのように示しているようで、嫌な気分になった。
誰にだって命に限りはある。
でもそれは他人に定められたものじゃない。
自分の力で生き、自分の限界を感じた時に尽きるもの。
決して、他人に好き勝手されていいものじゃない。
『こいつの体を好きにできるのは、こいつだけだ。他人がどうこうしていいもんじゃねぇ』
そう、神田も私の体のことを口にしてくれた。
「……」
そっと体を起こす。
いつまで経っても寝付けない頭に、じっとしていると嫌なことばかり考えそうで。
気分転換にでも、少し外の空気を吸おう。
そう思い、そっと暗い部屋を後にした。