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My important place【D.Gray-man】

第26章 ワレモコウ



 露店から離れると、オレの視界にさっきのフードを被った人物が映り込んだ。
 思わず足を止めるオレに、ぺこりと頭を下げたかと思えば背を向けて去っていく。


「…誰?」

「あー…オレもよくわかんねぇんだけど…」


 不思議そうに問いかけてくる雪に、とりあえず掻い摘んでさっきのことを話した。
 多分、声からしてまだ幼さが残る子供なんだろう。
 そいつは雪があの男に何をされるか、当たり前にわかっているようだった。


「え。なら感謝しないと」

「まぁ…って雪っ何処行くんさっ」

「お礼! ちゃんと言わないとっ」


 説明をすれば、慌ててその子供を雪が追いかける。
 仕方がないから、その後を追うことにした。










「──あのっ」

「!」


 暗い夜道を歩いていた小さな体は見合った小さな歩幅だからか、すぐに追いつくことができた。


「ラビから聞いて…さっき私のこと、忠告してくれたんだよね? ありがとう」


 中華まんの入った紙袋を抱えたまま頭を下げる雪に、深めのフードを被ったそいつが振り返る。


「いえ…偶々見えただけですから」


 見えた?


「お礼。…と言っても、何もないけど…これ、どうぞ」

「い、いいえ。お礼なんてそんな」


 持っていた紙袋から中華まんを差し出す雪に、ぱたぱたと顔の前で両手を振る。


「忠告のお陰で、買えたようなものだから。どうぞ貰って」


 にっこり笑って差し出す雪に、断れないと思ったのか。その子供は小さな手で中華まんを受け取ると、そっとそのフードを外した。


「ありがとうございます…」


 フードの下から現れたのは…やっぱりな。
 その背丈や声通りの、幼さが残る顔の少女だった。

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