• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第26章 ワレモコウ



「凄いっス! 流石神田先輩のバディっスね!」

「いえいえ。ってことで、すぐ戻ってくるから。時間帯も時間帯だし、夕飯は期待せずに待ってて」

「うっス!」


 軽い足取りで出ていく雪を、キラキラした目で見送るチャオジー。
 確かに雪はファインダーとして鍛えてるから、夜道に一人でもそう心配はねぇんだけど…。
 雪が言ったことは正論だから、一人の方が都合が良いのもわかるんだけど…。


「ラビさん、先にお風呂どうぞ」

「……」

「ラビさん?」


 雪が出ていったドアに目を向ける。

 情をかけるのと仕事の邪魔は違う。
 今ここで雪の後を追っても多分、仕事の邪魔にしかならない。


「…チャオジー、先に風呂使えよ」


 でも。


「え? ラビさん何処に行くんスか」

「ちょっと夜風に当たりに。暑くてさ」


 軽く手を挙げて、部屋の外に向かう。
 今までなら、ここで後を追ったりしなかった。


「……」


 それにもう、雪の中で答えは出てる。
 はっきりと、ユウのことを見ていたいって言ったから。

 …それでも、


「ユウが無愛想な分、サービスするって言ったしな…」


 あの廃墟の中で吐き出したオレの言葉は、偽りない真っ直ぐなものだった。
 雪の"情報"が枷として邪魔していた曖昧な思いじゃなく、あれは確かに真っ直ぐに雪に向けられた思いだった。





『ラビはラビだよ。誰もその代わりはできない』





 それを教えてくれたのは、きっと雪本人だ。






























「……まじか」


 後を追って向かったのは、村の入口。
 其処に雪の姿はなく、綺麗に穴を平らに埋めた地面がその場にあった。

 仕事早過ぎだろ…土木作業員かよ。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp