My important place【D.Gray-man】
第26章 ワレモコウ
「凄いっス! 流石神田先輩のバディっスね!」
「いえいえ。ってことで、すぐ戻ってくるから。時間帯も時間帯だし、夕飯は期待せずに待ってて」
「うっス!」
軽い足取りで出ていく雪を、キラキラした目で見送るチャオジー。
確かに雪はファインダーとして鍛えてるから、夜道に一人でもそう心配はねぇんだけど…。
雪が言ったことは正論だから、一人の方が都合が良いのもわかるんだけど…。
「ラビさん、先にお風呂どうぞ」
「……」
「ラビさん?」
雪が出ていったドアに目を向ける。
情をかけるのと仕事の邪魔は違う。
今ここで雪の後を追っても多分、仕事の邪魔にしかならない。
「…チャオジー、先に風呂使えよ」
でも。
「え? ラビさん何処に行くんスか」
「ちょっと夜風に当たりに。暑くてさ」
軽く手を挙げて、部屋の外に向かう。
今までなら、ここで後を追ったりしなかった。
「……」
それにもう、雪の中で答えは出てる。
はっきりと、ユウのことを見ていたいって言ったから。
…それでも、
「ユウが無愛想な分、サービスするって言ったしな…」
あの廃墟の中で吐き出したオレの言葉は、偽りない真っ直ぐなものだった。
雪の"情報"が枷として邪魔していた曖昧な思いじゃなく、あれは確かに真っ直ぐに雪に向けられた思いだった。
『ラビはラビだよ。誰もその代わりはできない』
それを教えてくれたのは、きっと雪本人だ。
「……まじか」
後を追って向かったのは、村の入口。
其処に雪の姿はなく、綺麗に穴を平らに埋めた地面がその場にあった。
仕事早過ぎだろ…土木作業員かよ。