My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
今、ドアが開かないって言った?
チャオジー。
「嘘、鍵なんて付いてないのに…」
一瞬、驚きはしたものの。こんな水浸しの部屋だし、ドアの蝶番でも錆び付いたりしてたのかな、と思い直す。
「チャオジーのイノセンス使った怪力なら、余裕で開けられるんじゃねぇさ?」
「そんなイノセンスを乱用させないの」
「オレのイノセンスを乱用した奴が何言ってるんさ…」
相変わらずの砕けた話しながら、ラビと一緒にドアへと寄る。
床一面の水溜りは、変わらずピリピリとした僅かな違和感を私の足に伝えていた。
『開けてくれますか? ラビさん、雪さん』
「うん、わかった」
内側から開けてみようと、古びたドアノブに手をかける。
──でも。
「…あれ?」
ドアノブを回して強く押しても、ビクともしない。
「どしたんさ」
「…開かない」
「へ?」
ガチャガチャと、何度もドアノブを回す。
なのに何故かしっかりと溶接されたかのように、ドアは開かない。
鍵なんてないのに、なんで。
「雪、オレがやるさ」
「ぅ、うん」
体を退いて、ドアをラビに譲る。
同じようにガチャガチャとラビがドアノブを回すけど、それでもドアはビクともしない。
「なんでさ…っ?」
「チャオジーっそっちからもドア引っ張ってくれるっ?」
慌ててラビと、内側から強くドアを押す。
チャオジーも手伝ってくれてるのか、向こう側からガチャガチャと同じようにドアノブを回してくれた。
でも開かない。