My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
「…じゃ、それはオレの役得ってことで」
そしてまた、二パッと普段の顔で彼は笑った。
「ユウが無愛想な分、オレがサービスしててやるさ」
「うわ、その言い方なんか卑猥。というかいい加減離して欲しいんだけど」
「えー。折角だし、いいじゃん少しは」
「うわーセクハラ。セクハラ兎がいるー」
「だから兎呼びやめろって」
こうやってすぐ砕けた会話ができるのは、ラビとだから。
その心地良さは、きっとラビだから貰えるものなんだよ。
だから…うん。
いい加減離してくれないかな、本当。
チャオジーに見られたら恥ずかしいから。
「もう、チャオジーが戻って来るか──」
──パシャッ
再び聞こえた、水が跳ねる音。
あ。
「また鼠さ?」
「チャオジーかも」
またドアの向こうから聞こえるそれに、二人して顔を向ける。
──パシャッ
もう一度、水が僅かに跳ねる音がして。
『ラビさん、雪さん』
ドアの向こうから聞こえたのは、チャオジーの声だった。
やっぱりチャオジーだ。
「ほらっチャオジー戻ってきたからッ。うん、おかえり!」
「へいへい」
ドアの向こうに声をかければ、すんなりとラビの両腕が離れる。
『此処、なんか開かないんスけど』
「え?」
「へ?」
だけど次に聞こえてきたチャオジーのその言葉に、思わず二人して動きが止まってしまった。
……今、なんて?