My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
バレンタインデーと言っても国によってイベント事は様々だ。
情熱家が多いイタリアなんかは"恋人たちの日"なんて呼ばれているらしく薔薇の花を贈るのが一般的なんだとか。
イギリスならシャンパンやチョコレートなんかも贈ったりする。
どちらも男性から女性に贈ることが多いイベントだけど、女性から贈ることも決して不自然なことじゃない。
だから折角チョコレートの美味しい国に来ているんだからと、とリナリーが一番乗り気で、ミランダさんからマリにチョコをあげようということになった。
ミランダさんはマリのことを「仲の良いエクソシスト仲間」なんて言ってるけど、傍から見てお互いに好意を寄せているのはなんとなく知っていた。
だからこそそんな提案を、リナリーも持ちかけたんだろうけど。
こういうのなんて言うんだろう…女子会? 女子の密会?
こういう女子同士で和気藹々とすることなんて、あまりしたことなかったからちょっとだけ気恥ずかしい。
恋バナみたいなことも、したことなかったし。
でもちょっと楽しいかも、しれない。
「日頃の感謝を込めてって言えば、マリも変な気はしないと思うな」
「そうかしら…そうだといいんだけど…」
照れたようにまごつくミランダさんの隣で、楽しそうに話しかけるリナリーはすっかりエクソシストじゃなく普通の女の子の顔をしてる。
リナリーもまだ10代の女の子だもんね。
こういうこと色々楽しみたい年頃だと思う。
「それに私も買うから」
「本当?」
「うん。私はこれにしようかな」
ショーウィンドウの中、リナリーが指差す先には美味しそうなトリュフチョコ。
大人向けなデザインだなぁ。
誰にあげるんだろう?
「誰にあげるの?」
何気なく問いかければ、形の良い口元を緩めて。
「兄さんに」
ふわりと、リナリーは女の私でも見惚れるような優しい笑みを浮かべた。
もう本当に天使。
笑顔ご馳走様です。
「好きな相手なら家族でもいいよね」
「うん。コムイ室長、きっと喜ぶと思う」
「そうかな…」
「絶対。ね、ミランダさん」
「ええ。間違いないと思うわ」
あの室長なら、なんだってリナリーから貰えるなら喜ぶから。