My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
「これ美味しそうじゃない?」
「ええ。でも私はこの形が好きかも…」
「あっ私もそれ、いいなって思ってたの。じゃあそれ買いましょ!」
「そうね…これにするわ。雪ちゃんはどうする?」
「え? 私?」
手持無沙汰に棚に並ぶ商品を見ていたら、唐突に名前を呼ばれて反応が遅れた。
本日の任務地はベルギー。
目の前で振り返って私を見ている少女と女性が二人。
リナリーとミランダさんだ。
昨日、夕食を神田達と取っていたらリーバーさんに任務説明で呼ばれた。
蓋を開けば珍しく神田とは一緒じゃない任務で、ファインダーは私一人、エクソシストはリナリーとミランダさんという女性だけのスリーマンセル。
「私は、いいかな」
「そうなの? 折角ベルギーに来たのに」
「このお店のチョコ、とっても美味しいって評判なのよ」
女性エクソシスト二人の任務に、シスコンなコムイ室長は男性のファインダーを付けるのを嫌がって、結果私が選ばれた。
そして出来上がった女性のみのチームとなれば、女子トークが盛り上がるのも自然な訳で。
「ゆっくり待ってるから、二人は好きなの買っていいよ」
苦笑混じりにひらひらと片手を振る。
伝えれば二人の視線はまた目の前のショーウィンドウへと移った。
本日の任務内容はイノセンス回収。
AKUMAと遭遇することもなく、すんなりと任務は完了した。
毎回思うけどリナリーと組む任務って比較的楽なんだよね…室長の計らいかな。
「でも喜んでくれるかしら…」
「ミランダから貰えるなら、なんだってマリも嬉しいわよ。自信持って!」
「え、ええ…」
そう、任務後にこんな有名店にまで寄って真剣にチョコを選んでいる理由は一つ。
バレンタインデーが近付いているから。