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My important place【D.Gray-man】

第3章 夢Ⅰ



✣ ✣ ✣ ✣

「…っ…?」


 薄らと目を開く。
 微かに揺れる、自分の体。
 目の前にぼんやりと映ったのは…赤い髪紐と黒い長髪。

 …これ、見覚えがある。


「…神、田…?」


 微かに揺れる自分の体。
 それは地面を踏みしめる、神田の足によるものだった。


「気絶すんなつっただろ」


 止まる足。
 顔だけ振り返ったその目が重なる。


「私…え…っつぅッ」


 段々と頭が覚醒する。
 身を起こそうとすれば、ズキリと脇腹に痛みが走った。


「完治はしてない。無駄に動くな」

「え、なん…どういう、こと」


 確か、私はAKUMAの銃弾を受けたはず。
 AKUMAのウイルスを体内に入れた者は、数分で死に至る。

 はずなのに。


「まさか効くとは思ってなかったが…お前の生命力が異常だったんだろ」

「何が…これ…っ…はッ?」

「暴れんな。落とすぞ」


 どうやら私は、神田に背負われてるらしく。
 その視線の高さに思わず狼狽える。


「クゥーン」


 聞いたことのある鳴き声に視線を落とせば、神田の隣を付いて歩く、墓地で出会ったわんこの姿が見えた。
 でも周りに廃れた墓標は見えない。

 まさか墓地から歩いて戻ってるの?
 私を背負って?


「じ、自分で歩くよ…距離、遠い」


 墓地から方舟のある街まで、徒歩で移動するだけでも大変な距離だ。
 ぎこちなく肩に手を置いたまま言えば、鬱陶しそうに神田は視線だけ寄越した。
 え、何。


「完治してないつってんだろ。お前の歩幅に合わせてたら陽が昇る」


 辺りはもう真っ暗闇。
 此処はぽつんぽつんと、申し訳程度にしか街灯がない廃れた道だ。

 時刻も定かじゃないけど、その言葉に反論はできなかった。
 脇腹の痛みはまだ残ってる。


「……」


 スタスタと進む神田の足。
 私と私の荷物を背負ってるのに、普段の速度とまるで変わらない。
 寧ろ速く感じるそれには感心した。


「…ごめん」


 申し訳ないのと、そんなふうに誰かに背負われたことがないから。どう身を預けていいかわからず距離を置く。


「落ちる。動くな」


 すると顔を前に向けたまま、ぴしゃりと言われてしまった。
 …どうしよう。

 仕方なしに、その背中に身を寄せた。

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