My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
✣
「よし」
頭の中で何度も、新しく教えてもらった方舟の暗証番号を復唱する。
今度こそ忘れないように。
というか今度忘れたら、こんな大人数の前で恥を掻く羽目になる。
それだけはごめんです。
「こんなに大勢で任務なんて私、初めてだわ」
「私も久しぶりかなぁ」
方舟で任務地のロンドンまで飛んで、其処からは歩いて移動。
隣で弾んだ声を漏らすミランダさんに、つられて笑みが零れた。
最近は神田とのツーマンセルの任務が多かったから。
エクソシストとファインダーが共に三人もいる大所帯での任務なんて、結構久しぶりかもしれない。
おまけにリンクさんもいるから本当に大人数。
まぁ、任務の内容を知れば納得できたけど。
今回の任務は、イノセンス回収とAKUMA討伐の二つが同時に成り立つものだ。
イノセンス自体は、はっきりと把握されていた。
亡くなったある男性が、肌身離さず身に付けていた大きなルビーの指輪らしい。
数年前に亡くなったチェスの世界チャンピオン、ベン・マーチン。
その人が夜な夜な、埋葬された墓地で人の手首だけで現れるとかなんとか。
ついでにその墓地周辺で、AKUMAの目撃情報も多発しているとかなんとか。
AKUMAもイノセンスを狙うから、いてもおかしくはないんだけど…。
「にしても、また墓地ね…」
思い出すのは、神田とツーマンセルで遂行した任務の一つ。
あのAKUMA討伐も墓地だった。
怪奇的というかなんというか…そういう雰囲気、本当に好きだよね。イノセンスって。
「アレンくんとは一緒の任務についたことあるけど、神田くんとは初めてなの。怒られないようにしなきゃ…」
「大丈夫。普通にやれば神田も何も言わないよ」
恐々と溜息をつくミランダさんに、つい苦笑する。
その気持ちはわかる、神田との初任務は緊張するよね。
でもミランダさんが担当するのはAKUMA討伐じゃなく、イノセンス回収の方だから。きっと大丈夫だと思う。