My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「うん。楽だなーって」
「イノセンスとAKUMAの同時任務なのに?」
「うん」
AKUMA討伐なんて神田とだとしょっちゅうだし。
決して楽だとは思わないけど、多少なりとも慣れた。
そして、
「神田と二人きりじゃないのが新鮮」
最近は本当に、神田とのツーマンセルが多かったから。
今回の任務は純粋に新鮮だった。
前の私だったら、二人きりのその空気をなんとなく嫌がってたけど…最近はそうは思わない。
というか寧ろその空気は悪くない。
一緒にご飯を食べたり、組み手を交えたり、その中で軽く雑談してみたり。
そんな些細なことを、神田と一緒にできる。
それがなんだか嬉しかったから。
「雪さん…そんなに思い詰めてたんですか…」
「へ?」
つい思い出しながら浸っていると、隣にいたアレンから情を込めたような声が届いた。
見れば、思いっきり不憫なものを見る目。
え、何その目。
「神田との任務が嫌なら嫌と、コムイさんにはっきり言っていいんですよ。なんなら僕からも言ってあげますしっ」
「ぃ、いやっそういう意味じゃないからっ」
強く両肩を掴んでくるアレンに、慌てて首を横に振る。
しまった、勘違いさせちゃった。
そんなこと言ってるとまた──
「何勝手なことほざいてやがる」
ほら出た。
ドスの効いた低い声が、後ろから届く。
振り返らなくても鋭い目で睨んでいるであろう、神田の姿は容易に想像できた。