My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
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「またですか」
音も無く滴り落ちる鮮血。床に点々と跡を付ける紅真珠を見下ろして、アレンは密やかな溜息をついた。
跡を残す部屋の主は知った事かと我が物顔。これを掃除するのは僕なのに、と堪らず愚痴が続く。
「神田なら返り血浴びずにAKUMAを倒せるでしょ。毎回毎回…」
「煩ぇな。文句垂れるなら出てけ」
荒く脱ぎ捨てた赤黒い団服を椅子に放る。それでも尚、神田の身体から滴り落ちる紅真珠は後を絶たない。
AKUMA討伐の任務を終えたと聞いた。討伐後の神田は、いつも全身血濡れで教団へと帰ってくる。初めて見た時こそ驚いたものの、今ではもう慣れたものだ。
「ほら、シャワー浴びに行きましょう。今なら人通りも少ないし」
「ンなもん後でいい」
「駄目ですよ、血生臭いんですから」
「他で上書きすればいいだろ」
誘うように傍に寄るアレンの手を、血で濡れた神田の手が掴む。眉を潜める姿などお構い無しに力を込めた。
「ちょっと神田、痛…わッ!?」
胸元を押して体重を掛ければ、背後のベッドへと沈む二つの身体。アレンが起き上がる気配を見せる前に、肩を真白なシーツへと押し付けた。
音も無く滴り落ちる、紅真珠。
「ベッドに血が…ッ」
「ンな事別に気にしてねぇだろ」
「はぁ?何言ってッん、ぅっ」
口煩い唇を奪う。荒々しく咥内を舌で割り入れば、抗い暴れていた腕の動きが弱まる。
「ん、く…っ」
「お前だってわかってる癖に」
入り混じる吐息と熱。溢れた唾液を呑み込めず、唇の端から滴らせるアレンを見下ろし神田は目を細めた。
「任務後の俺がこうなる事、わかってて此処に来てんだろ」
「っ…それ、は」
血に当てられ、高揚した欲が居場所を求めてさ迷う。それを知っているからこそ、アレンは傍で肌に触れてくるのだ。行き場のない神田の熱の冷まし方を知っているからこそ。
「わかってんなら、黙って抱かれてろクソモヤシ」
「…もう少し丁寧な誘い方出来ないんですかね」
再び交じり合う熱と熱。もう一度密やかな溜息をついて、アレンは神田の首に腕を回した。
「このバ神田」
「ぶっはッ!抱か、抱かれてろ…ッ抱かれてろ!あはははッ!」
「ちょっと!爆笑してんじゃないわよ!」
だってこの神アレR18本超面白い!