• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



「それはクラブ会員だけの物よ、あんたに必要ないでしょ」

「いいじゃない、クロエ。少しくらい…」

「嫌よ!この女は写真なんかなくったって、生の神田様を独占できるのに!図々しい!」



宥めようとするイザベラを遮って、憎々しげな感情も見える顔を向けてくる。
そこまで強い敵意を向けられると、反抗するよりも萎縮してしまう。
確かに、クロエの言うことには一理あるし…私がクロエの立場なら、そう思ってしまうかもしれない。



「なんでよりによってこんな女なの。神田様の良さを全然知らない癖に…ッあたし知ってるのよ、あんたのこと。ただ任務で神田様と組むことが多かっただけの女じゃない。それだけで神田様の隣にいることを許されるなんて…ッただ運が良かっただけでしょ!」

「…っ」



それは…違う、と、言い切れなかった。

コムイ室長の計らいで出来た関係じゃない。
それは断言できる。
でもユウとのバディが、全てのきっかけだったかもしれない。
過去の出来事を偶然か運命か、私に見定める目はない。

私が管理班で、クロエがファインダーだったなら。
クロエとユウがバディを組まされるようになっていたなら。
二人が恋仲になったかはわからないけど、今の私とユウの関係はあったのかどうか。



「うん…そうだよ」



…そんなこと、考え出したらキリがないんだけど。
だから、今私が思うことは一つ。



「私は運が良かったと思うよ。自分が見ていたい人に同じように見て貰えて」



過去は誰にも変えられない。
変えることができるのは、この先の未来だけ。



「だから握ってくれた手は、離さずにいたい」



確かに私はファンクラブの女神様達みたいに、前々からユウの良さを知らなかった。
知ったのは彼女達よりずっと遅いし、不満ばかり言ったりもしてた。
恋愛感情なんて知らずに毛嫌いばかりして。

それでも。

良い所も悪い所も。
嬉しかった事も嫌だった事も。
優しかった所も乱暴だった所も。
私の目で見てきた今までのユウのことは、私だから感じられた今までのユウの姿は、ちゃんと全部憶えてるから。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp