My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
つきあう…突き合う?
いや違うそれじゃとんだ暴力沙汰になる。
ユウ相手に突き合ったら刃物でズタズタにされるわ。
付き合うの方ね、付き合う。
うん。
というか"神田様"って。
カンダサマ?
様付けでこんな可憐な美少女に呼ばれるような相手だったっけ、ユウは。
「あ、エクソシストだからか。それなら納得」
「ちょっと、聞いてるの?」
「はい?突き合う?」
「そうよ。神田様と付き合ってるのって聞いてるの。ちゃんと正直に答えてよ」
思わず思考も遅れがちな反応になってしまえば、クロエに両腕を掴まれた。
相手も必死なんだろう、間近に覗き込んで私の答えを待っている。
ど、どうしよう。
そんなことリナリーやミランダさん達、知り合いの女性以外に聞かれたことないから。
どう答えていいのか、正解がわからない。
でも必死なクロエの態度や正直さを求める問いを前にすれば、嘘をつくことなんてできなくて。
「ぅ…うん」
恐る恐る頷けば、翠色の猫目が大きく見開いた。
「……うそ…」
強く腕を掴まれていた手が離れる。
ふらふらと後退るクロエの顔には、一目見てわかるショックさを伺わせていた。
「こんなブスが相手なんて…」
うぉい。
ちょっと待て。
「あの神田様に女が出来たってだけでも信じられないのに…!相手がこんなに釣り合わないブスなんて!」
「あの。屈辱罪で訴えてもいいですか」
確かに顔に自信がある訳じゃないけど、なんで見ず知らずの相手にとんだ悪口言われなきゃならないの。
立派な屈辱罪だわ。
「だから言ったでしょう?クロエ。無闇に突っ込んでも貴女の得することなんてないと」
「だって…ッ真実が知りたかったのよ!イザベラ達みたいに、ただ黙って見守り続けるなんて愚かじゃない!」
「そうかしら。そうやって神田さんの身の回りのことで騒ぐ貴女の方が、浅はかだと私は思うけれど?」
「っ…」
おお…クロエを黙らせた。
イザベラって人、おっとりした見た目だけど結構な器の持ち主なのかもしれない。