My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「ええ。急にお声掛けしてすみません。私はイザベラと言います。イザベラ・ミラー」
問い掛けに頷いたのは、長いブラウンの髪を一つのおさげにして編み込みした頭に、おっとりとした目元が優しい印象の女性だった。
物腰も柔らかくて、大人びた雰囲気を持つ。
管理班は教団内の施設管理と同時に、受付窓口みたいな仕事もしてるから、こんな受付嬢がいたら安心するだろうなぁ。
「そしてこの子は…」
「クロエよ」
相反してクロエと名乗った少女は、綺麗に切り揃えられた金髪のボブカットにぱっちりとした翠色の猫目の、強気な印象の女の子。
幼さが残る顔立ちだけど、綺麗な少女だった。
そしてやっぱり、どっちも知らない名だ。
「ええと…初めまして?私の名前は月城───」
「存じ上げています」
「月城雪でしょ」
「…何用ですの?」
私のこと知ってるの?
サードエクソシストであるテワクならまだしも、ただのファインダーとして教団に務めてる私のことを知ってるなんて。
珍しいな…女のファインダーなんて珍しいからかな?
名指ししてくるクロエに頷けば、テワクが冷たい目で横槍を入れてきた。
「わたくし達、暇ではないんですの。呼び止めるからにはそれ相応の理由があって?」
「ちょっとテワク、そんな言い方…」
「何よエラソーに。中央庁から来たってだけで大きな顔しちゃって。あんたに用事はないのよ」
「クロエ!エクソシスト様にそんな口利かないのっ」
テワクとクロエの間で睨みの火花が飛び散る。
うわ、美少女が並ぶと画になるけどこの間には入りたくないな…見て見ぬフリもできないけど。
なんせ私に用事があるみたいだし。
「ぃ、イザベラにクロエだよね。私に何か?」
空気を止める意味で問えば、イザベラの目は私じゃなくクロエを見た。
促すように頷けば、クロエが唇を結んで……え、何。
なんで私の前に詰め寄ってくるの。
「き…っ聞きたいことがあるのっ」
「な、何?」
意を決した様子のクロエに、思わず私も緊張する。
何、聞きたいことって。
初対面の私に興味持つことなんて…も、もしかしてノアであることが漏洩したとか…っ
「神田様と付き合ってるって本当っ?」
「………は?」