• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ














「5分16秒ですわよ。遅い」

「…ゴメンナサイ」



熱いシャワーを無心で浴び続けていれば、少しだけだけど落ち着いた気がした。
5分後に身形を整えて脱衣所を出れば、仁王立ちしていたテワクの駄目出しがしっかりと待っていたけど。

やっぱり今は、あんまりサードの顔を見たくないな…マダラオの言葉を思い出してしまうから。
テワクには悪いけど、早く部屋に戻って一人になろう。

時刻はまだ夕飯時には早い。
疎らに人の行き交う廊下で自室へと向かえば、後ろからついてくる小さな足。



「…テワク、」

「なんですの?」

「後は部屋に戻るだけだから。大人しくしてるし。監視はもういいよ」

「ならば部屋の前まで見届けるのが常識でしょう。何を仰ってますの?」

「…ゴメンナサイ」



ちょっと提案してみただけじゃん…その方がテワクも楽かなって、好意で言ってみただけじゃん。
なんでいっつも馬鹿ですか?って目で見られなきゃならないんだろう。
いくらツンデレっ娘でもツン具合が過ぎると思うよ、テワクは。
というかデレなんてあるのかな。
マダラオくらいにしか見せて───



「あの、」

「え?」



ついついテワクへ意識が向いていれば、不意に間近に声を掛けられた。
あんまりテワクに意識を向けてたから、気付かなかった。

振り返れば、傍に立っていたのは紺色の制服に身を包んだ女の子が二人。
きっちりと首元まで止めたブラウスに白いリボン。
紺色の上着の胸元には教団の者であることを指し示す、十字架模様が金色の糸で縫い付けてある。
見覚えのある制服は教団で働く役職の一つ、管理班のものだった。



「私ですか?」



管理班だってことはわかるけど、教団は大きな組織だから。
長年働いている者でも、団員全員の顔と名を把握するのは難しい。
かく言う私も、ファインダー仲間ならまだしも…その管理班の人達とは面識がない。

知らない顔だなぁ…。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp