My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「何故、謝るの?」
「………」
静かな雪の問いかけに、アレンは応えなかった。
否、応えられないのだろう。
お互いの間に沈黙ができる。
「そうそう。言い忘れてましたが、貴方方は違いはあれど同じに危険因子。揃えば何が起こるかわからない。下手な行動は慎むよう、お願いしますね」
その沈黙を破り二人の間に割って入ったのは、淡々としたルベリエの声だった。
はっと上がる雪とアレンの目に、にっこりと作られた顔で笑うルベリエが映し出される。
これ以上の会話はできない。
そう踏んだのだろう、アレンは一歩後退して雪から距離を取った。
それが短い会話の終わりの合図。
「では、リンク監査官。君は引き続き14番目の監視を」
「はい」
「貴女もですよ、同じに中央庁から監視を一人付かせますので」
「え?」
アレンにばかり気を取られ、まさか己に矛先が向くとは思っていなかった。
ぽかんとした顔で目を向ける雪に、ルベリエが顎を引き目で促した先に立っていたのは、サードエクソシストの一人。
「トクサ。今後、月城雪のことは君に一任します」
「仰せのままに」
にこにこと貼り付けたような笑顔を見せる、リンクと然程変わらないであろう、若い男だった。
「どうぞ私に牙は向けないで下さいね。危険因子さん」
「え…待って、まさかリンクさん張りに私に張り付くの?一日中一緒にいて就寝も共にするの?とんでもない」
笑顔は貼り付けているものの、癇に触るような物言い。
こんな男に四六時中張り付かれては堪らない。
思わず苦情を申し立てる雪に対して、トクサはにこやかな笑顔のまま。
「ご安心を、間違っても手なんて出しませんから。私にも選ぶ権利はあるでしょう?」
「しれっと人を貶すのやめてくれる。それ凄く世の女性に対して失礼だから」
「おや。女性などいたのですか。何処に?」
「……チェンジで」
「何処のホストですか馬鹿ですか」
思いきりトクサに対して顔を顰めながら手を裏返して催促すれば、あっさり否定された。
おまけの罵倒付きで。
どうやら代えは利かないらしい。