My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
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「ししッ♪大量たいりょー!」
「ティモシーあんた…っどんだけ元気なわけ…ッ」
溢れんばかりの笑顔で、溢れんばかりの菓子が詰まったバケツを手に弾けるティモシー。
言葉の通り、ぴょんぴょんと飛び跳ねるティモシーを前に肩を落としつつ息を乱すのはエミリア。
始終あちこち菓子を貰いに回る彼を追い掛けなければならなかったのだ、疲れ果てても仕方ない。
ティモシーの体力の方が、どちらかといえば異常。
それは日々師であるクラウドと交えていた鍛錬の賜物だったが、果たして彼は気付いているのか。
少しずつだが、エクソシストとしての力を確かに備えつつあることに。
「エミリアが体力ないだけだって。その証拠にホラ!あんちゃん達は元気だろ」
「それはエクソシストだからよ。私は一般人なのっ」
「ま、まぁまぁ。流石に私も少し疲れたわ、ティモシーくん。夜も遅いことだし…」
「私はすっごい疲れた」
「あら。雪ちゃんまで?」
気遣いのつもりか本音なのか。
苦笑混じりに言葉を添えるミランダの隣で、がっくりと項垂れたのは雪だった。
行きはピンと立っていた獣耳と尾が、虚しく地面に向かって垂れている。
「見掛けた時は、楽しそうに遊んで見えたけど。神田くんと」
「うん。だから、疲れた。何処ぞのアイドルみたく周りが神田に集るから…変に絡まれないよう始終見張ってなきゃだったし。番犬の気分だった」
「別に俺は番犬しろなんて言ってねぇだろ。お前の方こそ無駄に犬っぽさアピールすんじゃねぇよ。ガキ共に集られてたろ」
「子供は本当、動物好きだよね…」
虚ろに明後日の方向を見つめ呟く雪の毛並みは、多少荒立って見える。
大方、集ってきた子供達の手に執拗に撫でられ引っ張られしたのだろう。
賑やかだったハロウィンが終わりを告げ始める頃、神田のマントの下に逃げ込むように潜り込む雪をラビはしかと目撃していた。
「つまりはどっちもどっちさ」
見た目には神田の方が目を惹く派手な姿をしているが、そんな神田を雪が番犬していただけではない。
飼い主よろしく守っていたのは神田の方。
つまりはどっちもどっち。
ラビからすれば、恋仲であることを見せ付けるだけの光景だった。