My important place【D.Gray-man】
第15章 12/31大晦日
34分て。
移動用の方舟ゲートの場所まで戻るのにも、割と時間かかるのに。
絶対コタツでまったりタイムは過ごせない。
「いい加減諦めろ。年明けをみかんでも食って過ごせ」
「神田は年越し蕎麦、食べたくないの…」
「年明け蕎麦を食う」
「…さいですか」
神田的には、蕎麦が食べられればなんでもいいんだ。
というか、やっぱりお蕎麦は食べるんだね…そんなに好きなんだね。
「うう…まったり年越しが…」
恨めしく、輝くネオンのミラーボールを見る。
その下の大通りには隙間もない程、沢山の人々で溢れ返っていて、誰もが期待に満ちた目をしてミラーボールを見つめていた。
キラキラと輝くネオンに、今か今かと待ち受ける人々の興奮した面持ち。
自分との温度差が恨めしいを通り越して、羨ましい。
「…じゃあ、どうせ間に合わないなら…」
羨ましさが素直に勝った為か。なんとなく、知らないその世界に興味が湧いた。
「此処でカウントダウンしていってもいい?」
「は?」
六幻を鞘に戻しながら、振り返った神田が怪訝な顔を向ける。
「どうせだから人生で一度は体験してみたいかも。ニューヨークのカウントダウン」
大都市で行われる、盛大な年越しイベント。
有名なあの場所は年越しの聖地みたいなものだから、興味は少なからずあった。
だけど真っ直ぐ神田に伝えれば、沈黙を作って嫌そうな顔をされてしまう。
ミラーボールに表示されている時間は、残り【30分】。
「…終わったらすぐに帰るからな」
「っうん!」
それくらいなら神田も譲歩してくれたらしく、意外にも得られた了承に私は大きく頷いていた。
やった…!