My important place【D.Gray-man】
第15章 12/31大晦日
「うわ…活気が凄い…」
「お前一人で行ってこいよ」
「え!? この中にっ!?」
「体験したいつったのは、お前だろ」
神田と二人、かの有名な大通りを細い路地から覗き見る。
確か…タイムズスクエア、だっけ。
あまりの人の多さに右も左も前も後ろも、何処を見ても混雑した人、人、人。
この中に入るのは、かなり勇気が要る気がする。
一瞬コタツとみかんを欲したくなったけど、偶にはこういう賑やかな年越しをするのもいいよね。
…多分。
「えっと、じゃあ…ちょっと行ってき──うわわ!」
「おいっ!?」
折角此処まで来たんだから、経験しない方が後悔が勝る。
そう、やる気を出して群集の中に片手を突っ込んでみれば、物凄い波にあれよあれよと巻き込まれてしまった。
す、凄い熱気…!
「む、む…ぉぉ…これが…っ」
本場アメリカということもあってなのか、周りはガタイや身長のある人ばかりで、あちこち押されながら群集の中を揉まれていく。
それなりに鍛えててよかった…っ。人込みは得意じゃないから凄く大変だけど。
まぁ、人生に一度と思えばこれも思い出の一つになるのかもしれない。
揉まれながらも、見上げた大きなミラーボール。
キラキラと輝くそれに表示されているのは【20分】。
期待が高鳴る。
年越しをしたら、この場はどんなふうに活気付くのかな。
今でも充分、ライヴとか行われてるから活気付いてるけど。