My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「な…ッアルマ…だと…?あのアルマなのかレニー!」
「…ええ」
「何故アルマが生きて…ッ!?」
「生きてはいないわ」
神田の手により破壊され、絶命したはずのアルマ。
その生存を耳に驚きを隠せないでいるバクに、レニーは微かに表情を暗めた。
「死んでもいないけれど」
「…どういう意味か、教えてくれるかい」
人造使徒計画の被験体であったALMAとYUのことは、コムイもまた無関係ではあったが知っていた。
教団の負の遺産として、しかと頭に刻み付けた過去の出来事。
バクとは対照的に、声は荒立てず説明を促すコムイにレニーは素直に口を開いた。
「アルマはユウに破壊されたあの日から、昏睡状態に陥っているの。一種の植物状態のようなもの。外部から何をしても反応は示さない」
「…あんなに…神田に破壊されてもまだ、命を繋ぎ止めていたということ、か…?」
「ええ、驚いたわ。私もサード計画の際にアルマの存在は知ったのよ」
「然様。彼女は何も知りません。アルマ=カルマを保管していたのは我々中央庁ですので」
不意に淡々と割り込んできたのはルベリエの声だった。
感情の見えないレニーの声や動揺を隠せないバクの声とは違い、それは穏やかにさえ聞こえる程。落ち着いた声色だった。