My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「…長官」
「後に伝えるつもりでしたし。良いでしょう」
バクに伝えるか否か。判断を仰ぐレニーに、ルベリエは涼しい笑みを称えたまま頷いた。
蛇のように鋭い目が、静かにバク達を捉える。
「ただし正式な形で発表するまでは、ここだけの話にとどめて頂きたい」
「…わかった」
静かに頷くバクに、軽く頷いてルベリエはレニーに先を促した。
「…ダークマターの塊であるAKUMA卵核との融合に成功するには、強い耐久性と再生能力を必要とする。それだけの器はセカンド以外にはいない。…仕方のないことだったのよ」
ぽつりぽつりと静かに告げるレニーの言葉は、どこか言い訳のようにも聞こえた。
「神田ユウ以外に、もう"それ"しか器は残されていなかった」
「"それ"とは、一体…」
深呼吸一つ。
笑みを消した表情で、レニーは静かにその名を口にした。
「"アルマ=カルマ"。嘗てのALMAの肉体よ」