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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「血の臭いも仲間の惨い死に様も全部憶えてる。忘れたことなんてない。私の父を殺したのはほんの10歳の子供だった。…けれどそれこそが私達が造り出した"人成らざる者"」

「そうだ、だからもう二度とあんな惨劇を繰り返してはならないと…ッ」

「それで結果、どうなったのよ。教団はノアとAKUMAに襲われて、大量の死者が出た。私と貴方も一歩間違えれば、命を落としていても不思議じゃなかった」

「それは…ッ」

「あの旧本部襲撃事件で、封印は間違いだったとわかったのよ」


 レベル4というAKUMAが生まれ、大量の団員達が命を落とした襲撃事件。
 再びレニーが目の当たりにしたのは、仲間達の大量の死だった。
 今度は自らが造り上げた被験体ではなく、敵であるAKUMAの手によって。

 もしあの計画を封印せずに、戦力としてモノにできていたのなら。あそこまで死者は出さずに済んだかもしれない。

 自らの父を目の前で殺された過去を持つレニーだからこそ、その襲撃での大量の仲間の死は重く考えさせられる出来事だったのだ。


「綺麗事なんて言ってられないの。これは聖戦なのよ、バク」

「ッ…」

「人間が悪魔に勝つには、代償も必要だわ」


 それがどんなに非人道的なことであれ。
 聖戦に勝利する為には、躊躇などしていられない。


「サードエクソシストは、セカンドに続く我らの新たな戦力となりましょう」

「レニー…」


 再び笑みを浮かべて淡々と言葉を並べる嘗ての同胞に、バクは強く歯を噛み締めた。

 9年前は澄んだ瞳で教団の為の力になりたいと、研究者としての自分に誇りを持ち働いていた彼女。
 厳格な父の指揮に従順に従いながらも、我々はこんなことをしていいのかと、人造使徒計画に迷いさえ見せていたのに。

 今の彼女には迷いなどない。
 その姿は、ALMAとYUに慈悲を向けていたトゥイをも拒み、人造使徒計画を無理にでも押し進めていたサーリンズの姿と重なるようだった。

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