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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「忘れた? そんな訳ないでしょう」


 淡々とした声色は変わらずとも、レニーの口調には冷たい響きが混じっていた。


「私はあの計画に関わっていたのよ。外から傍観するだけだったお坊ちゃんとは違うわ」

「…っ」


 名を言わずとも、それが誰を指し示しているのかは皆理解していた。

 9年前、深い地下のアジア第六研究所で行われていた人造使徒計画。
 その一切の総指揮を取っていたのは、その時のチャン家当主でアジア支部支部長でもあったトゥイ・チャン。バクの母親である。

 そしてエプスタイン家の筆頭であり、アジア支部科学議長会議長を担っていたサーリンズ・エプスタイン。レニーの父親であった。

 レニーもまたサーリンズの補佐として、人造使徒計画に関わっていた研究者の一人。
 バクと年齢はそう変わらず若い女性ではあったが、被験体であったALMAとYUの世話係を任されていた。
 しかし同じく研究者であったバクは、その人造使徒計画には関わらなかった。

 否、関わらせてもらえなかった。
 理由は母であるトゥイがそれを拒んだからだ。

 自分にも他人にも厳しい女性だったが、息子には負の実験で手を黒く染めて欲しくなかったのだろう。
 それが我が子を思う母の優しさであったことは、バク本人もレニーも知っていた。

 そして9年前のあの日、惨劇は起きた。
 被験体ALMAの暴走。

 バクの親もレニーの親も、ALMAの手によって無残に命を散らされたのだ。

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