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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



 レニーから聞かされた、秘密裏に行われていたサード計画。
 そして第三使徒の存在。
 AKUMAの卵核など何処で手に入れたのか。
 コムイに思い当たる節は、一つしかなかった。





『卵を破壊するだと? あれにどれだけの価値があると…』

『破壊するしかありません』





 旧教団本部がノアと大量のAKUMAに襲われた、痛ましい本部襲撃事件。
 ノアの方舟をアレンのお陰で手に入れ、その中に保管されていたダークマターの塊であるAKUMAの卵を入手した。
 ルル=ベルと名乗るノアが躍起になってそれを取り返そうとしてきた為、敵の手に渡すくらいならと破壊を命じたのはコムイだった。
 そして最後までそれに強く反発していたのはルベリエ。

 無事敵の手に渡る前に、元帥達とアレンの手によって卵は破壊された。
 しかしその際に砕け散った卵の欠片は半壊した旧本部に残されたまま。
 大量の死者と負傷者を出した事件故に、欠片の処分は大分後になって行われた。


(恐らくあの時、秘密裏に長官は卵の欠片を入手したんだろう)


 ぐ、と口元に当てた手の下で、コムイは唇を噛み締めた。


(貴方の言った"価値"とはこれだったのか? ルベリエ長官…ッ)


 レニーはルベリエの手足になっているに過ぎない。
 このサード計画はルベリエが起爆剤だと、コムイは直感していた。


「何故だレニー…っ」


 それでも、チャン家とエプスタイン家。
 人造使徒計画で手を組み、その結果生み出した惨劇を経験していたバクは、どうしてもその時の同胞であったレニーを無視できずにいた。


「教団の負の遺産をタブーとして封印したのは我々だったろう! 何故また…ッ9年前のあの"惨劇"を忘れたのか!」

「……」


 激しい彼の責めの言葉に、レニーの顔にずっと刻まれていた笑みが消えた。

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