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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「……今、なんと?」


 司令室の室長席に座り、険しい顔を見せるコムイ。
 ルベリエに呼ばれて早急に司令室へと戻った先で、彼は信じられない言葉を耳にした。
 普段より幾分低い声で尋ねる先は、ソファに身を沈め紅茶を口にするルベリエ。

 ではなく。


「そんな怖い顔なさらないで、室長」


 豊かな胸元と白い太股を露わにした露出の高い服に身を包み、高級感あるファーの付いた毛皮のコートを羽織った女性に向いていた。

 北米支部支部長、レニー・エプスタイン。

 短い金髪をオールバックに整えた下にあるのは、凹凸のはっきりとした美しい顔立ち。
 真っ赤な口紅で染まった唇を上げて、彼女は笑った。
 険しいコムイの顔とは違い、その笑みには子供をあやす親のような余裕が垣間見える。


「室長は理解されておらぬようだ。もう一度説明をなさってあげたらどうですか、レニー支部長」

「ええ、わかりましたわ」


 隣で優しく助言をするルベリエに、レニーも笑みを称えたまま頷く。


「此処にいますは、室長も面識のあるマダラオとテワク。そして他三名。トクサ、キレドリ、ゴウシ。彼らは人体生成により半AKUMA化した使徒達です」


 ルベリエとレニーの座るソファの後方。
 緋装束マントに身を包んだ男女五人が、静かにその場に佇んでいた。

 被っていた帽子と口布を取り、素顔を曝した彼らには一概に同じ隈取りのような模様が目元に入っている。
 そして額には二つの縦に刻まれた緋色のホクロのような跡。

 その跡にはコムイも見覚えがあった。
 中央庁からアレンの監視役で就けられた、ハワード・リンクも同じ跡を額に刻んでいたはず。

 裏葉色(うらはいろ)をした逆立った髪。
 右サイドだけ長く垂れたそれは右目を隠している。
 数珠と羽根飾りの装飾を髪に飾り付けている、鋭い目つきの男性、マダラオ。

 幼さが残る顔立ちに、金髪の長くウェーブのかかった髪。
 化粧で施された麻呂眉に前髪を上げて縛る髪紐は、マラダオと同じくアジア民族の雰囲気を思わせる。
 小柄な少女、テワク。

 その男女二人はコムイが気に掛けていた、中央庁の謎の鴉。
 二人だけだと思っていた謎の存在は、更に他にもいたらしい。
 レニーが教団に訪れた理由は、彼らの存在をコムイに説明するためだった。

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